モーダルシフト

都市間の幹線貨物輸送を、トラック輸送から鉄道や船舶などの公共交通にシフトさせる"輸送方式の変換"のことを「モーダルシフト」といいます。

トラック貨物輸送は、鉄道貨物輸送に比べて機動性や迅速性に優れ、安価でドア・ツー・ドア輸送も可能なため、高度経済成長期から鉄道に代わり陸上貨物輸送の主軸を担ってきました。その一方で、安全性、エネルギー効率や環境負荷など、社会的費用の視点から評価すると鉄道貨物輸送の方に軍配が上がります。こうした理由から、第2次石油危機後の1981年に、急務とされた"省エネルギー対策"の一環として、運輸大臣(現・国土交通大臣)の諮問機関である運輸政策審議会答申で、初めて「モーダルシフト」政策が提唱されました。その後、1990年に、運輸政策審議会物流部会答申の中で、"労働力不足に対する対策"としてモーダルシフトの推進が提言されました。

京都議定書が採択された1997年には"地球環境問題への対応"を目的として、また、2015年の交通政策基本計画では、深刻化する"労働力(トラック運転手)の不足への対策"も環境対策と並ぶ目的とされ、モーダルシフトの一層の推進が謳われました。

モーダルシフト(和製英語)とは、端的に言うと、都市間の幹線貨物鉄道や臨海工業地帯の貨物鉄道、内航海運とトラック輸送を機動的に組み合わせることで、効率的な貨物輸送システムを確立しようとするものです。

これまでの主な施策として、鉄道貨物のインフラ整備に対する補助、荷主と物流事業者との連携事業に対する運行経費補助、31フィートコンテナなどや荷役機器の導入経費に対する補助などが実施されているほか、国土交通省・経済産業省によるグリーン物流優良事業者表彰、鉄道貨物協会によるエコレール認定など、モーダルシフトを促進するための表彰・認定制度も設けられています。

岩手開発鉄道、秩父鉄道、三岐鉄道、水島臨海鉄道など貨物を取り扱う地方民鉄も、幹線の物流を担うJR貨物とともにモーダルシフト施策の推進に貢献すべく努力を重ねています。(→貨物鉄道

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秩父鉄道
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三岐鉄道

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