時差通勤・通学

出退勤や登下校の時間をずらす(時差を設ける)ことによって、ラッシュ時の混雑を平準化しようとする施策のことを「時差通勤・通学」と呼んでいます。

高度経済成長期には大都市圏に人口が集中し、特に朝の通勤時間帯には、駅や電車内で深刻な混雑が生じました。大手民鉄各社は、抜本的な混雑緩和を目指し、複線・複々線化など大規模工事による輸送力増強に取り組んできました。しかし、市街地での用地買収はなかなか進まず、大規模工事の完成までには多くの歳月を要しました。

こうした状況の下で政府は、1950年代半ば頃から企業や官公庁に時差通勤を、学校には時差通学を呼びかけ、社会全体のコンセンサスを求めてきました。大手民鉄各社もポスターで呼びかけるなど、積極的にキャンペーンを展開してきました。また、民営鉄道各社による輸送力増強に向けた投資も行われました。その結果、1965年当時は238%であった大手民鉄の平均混雑率は、近年、150%程度まで低下しました(主要区間最混雑1時間平均)。

一方、通勤電車を利用する側の実感としては、平均混雑率を大きく上回る列車、車両に遭遇することも珍しくないようです。快適通勤、快適通学に対するニーズは、なお大きいといえるでしょう。

東京都では満員電車の混雑緩和を目指し、2017年に「快適通勤ムーブメント(時差Biz(ビズ))」を開始し、2019年からは、一歩進めた「スムーズビズ」の取り組みを進めています。時差通勤やテレワークを促すだけでなく、早朝の列車増発、ラッシュ時を避けて通勤する人に向けたポイントサービスの導入など、実効性を高める施策も盛り込まれています。(→混雑率ラッシュアワー

より安心・便利な鉄道を目指して

  • 環境への取り組み
  • 安全への取り組み
  • 利便性向上への取り組み
  • マナーアンケートの結果