混雑率
"輸送人員÷輸送力"で算出される混雑度の指標のことを「混雑率」といいます。都市鉄道の主要路線の混雑率は、各路線の"最混雑区間における1時間あたりの平均混雑率"として毎年公表されています。
朝夕のラッシュ時の混雑緩和は、大都市の鉄道にとって最も重要な課題のひとつであり、長年の目標とされてきました。大手民鉄各社も、高度経済成長期から長期間にわたり莫大な設備投資―-線路の増設、車両の増強、連結車両の増加、運転間隔の短縮、駅ホームの延長、変電所の増設など――を行い、混雑緩和に向けて着実に施設の整備を進めてきました。
こうした設備投資の数値目標を示す指標のひとつとして用いられてきたのが「混雑率」です。
現在、混雑緩和を図るための都市鉄道の整備水準として、ラッシュ時の主要区間の平均混雑率を150%とすることが目標とされています。この目標は、運輸大臣(現・国土交通大臣)の諮問機関である運輸政策審議会が1992年6月19日に提出した答申第21号で掲げられました。ちなみに、平均混雑率150%とは、「肩が触れ合う程度で、新聞は楽に読める。」といったイメージであり、それぞれの混雑率の目安は次のとおりです。
[100%]=定員乗車。座席につくか、吊り革につかまるか、ドア付近の柱につかまることができる。
[150%]=肩が触れ合う程度で、新聞は楽に読める。
[180%]=体が触れ合うが、新聞は読める。
[200%]=体が触れ合い、相当な圧迫感がある。しかし、週刊誌なら何とか読める。
[250%]=電車が揺れるたびに、体が斜めになって身動きできない。手も動かせない
なお、2018年度における大手民鉄16社のラッシュ時の平均混雑率を見てみると、同答申の達成目標とほぼ同様の152%となっており、混雑緩和は着実に進んでいるといえるでしょう。(→ラッシュアワー)