こう配
斜面の傾斜の度合いのことを「こう配(勾配)」といい、わが国ではこれを1000分率で表しています。
山岳地帯の多い鉄道は、急こう配の区間も走っています。こう配は、水平の距離に対する高さの比率を1000分率で示し、‰(パーミル)という記号で表します。例えば、35‰の上りこう配の場合、列車が1,000m進んだとき35m上ることを示します。
「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」では、「こう配は、車両の動力発生装置、ブレーキ装置の性能、運転速度等を考慮し、車両が起動し、所定の速度で連続して運転することができ、かつ、所定の距離で停止できるものでなければならない」(第18条)と定めています。
また、同省令の解釈基準には、最急こう配の標準として、新幹線を除く普通鉄道の場合、機関車列車があるときは25‰、機関車列車がない場合は35‰、リニア推進の場合は60‰、分岐器区間は25‰、列車停止区域は5‰と示されています。こうした基準は、急こう配区間では列車の加速度や速度に影響があり、列車が前進不能となる事態を避けるために設けられたものです。
さまざまな上り下りこう配がある区間では、それぞれのこう配規模を、その区間の長さで見た平均こう配で示しています。車輪とレールの摩擦で走る在来型鉄道は、こう配やカーブ区間で列車の走行を妨げるこう配抵抗などを受けるので、運転士はこう配の大きさだけでなく、長さにも注意しなければなりません。(→車輪、スイッチバック)