スイッチバック
鉄道車両の登坂能力を大きく超える急こう配を登るため、急斜面にジグザグ状に線路を敷いてこう配を緩和し、列車を進行させたり退行させたりしながら坂を登っていく方式のことを「スイッチバック」といいます。
一般の鉄道は、車輪とレールの摩擦力によって駆動力を得ていますが、急な坂では車輪がレール上を空転して滑り、十分な駆動力が得られないという弱点があります。そこで、急こう配を避けるための手段として考えられたのがスイッチバックです。長編成の列車が走る路線では、折返しのための線路を長くしなければならない、方向転換に時間がかかるなどの問題が多いため、スイッチバックは、輸送需要の小さい地域や、観光客向けの登山鉄道などで用いられています。
"天下の剣"として知られる箱根の山を登り降りする箱根登山鉄道では、出山信号場、大平台駅、上大平台信号場の三箇所でスイッチバックを採用しています。(→こう配、車輪、スリップ・スキッド)