アプト式鉄道

2本のレールの真ん中に歯状レール(ラックレール)を敷き、それに機関車の床下に設けられた歯車(ピニオンギア)を噛み合わせ、急こう配の線路を登り降りする鉄道を「ラック式鉄道」といい、そのうち、複数のラックレールを設置するなどして噛み合わせの強度を高めた方式を、開発者の名前にちなんで「アプト式鉄道」といいます。

アプト式鉄道は、急峻なスイスの登山鉄道で多く見られますが、わが国で用いられているのは、1990年10月2日に営業運転を開始した大井川鐵道井川線の一部区間「アプトいちしろ~長島ダム」(約1.5km)だけです。この区間は、1000分の90(1000m走るうちに90m上がる)という日本一の急こう配で、長編成の列車の先頭と後端とでは10mの高低差が生じます。

歯状のレールは、通常の走行用レールの中央に3列に並んでおり、歯車の刻みの位置は3列が3分の1ずつずれています。この区間には日本では珍しい鉄まくらぎが使われており、ホームに降りて、鉄まくらぎにセットされたラックレールを間近で観察することができます。なお、電気機関車は常に坂下側にあって、安全ブレーキの役目を果たします。(→こう配

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井川線のラックレール(歯形レール)

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