気動車
内燃機関を動力源として用い自力で走行する車両のことを「内燃動車」といいます。「気動車」はその通称です。わが国の気動車は、ルドルフ・ディーゼルが発明したディーゼルエンジンを用いているため、一般に「ディーゼルカー」と呼ばれています。
気動車は、床下にセットされたエンジン(内燃機関)が生み出す回転力を、「変速機」と「推進軸」を介して車輪に伝えることで駆動力を得ています。この「変速機」の構造には、歯車の組み合わせによるもの(機械式)と、液体を用いるもの(液体式)があります。わが国で用いられているのは、ほとんどが液体式です。
気動車の歴史を見ると、大正初期にガソリン機関を用いて走る「ガソリンカー」が導入され、昭和戦前期にかけて広く普及しましたが、安全性の問題などから、戦後は軽油を燃料とするディーゼル機関に主役の座を譲り、現在に至っています。
気動車は燃料タンクを車両に搭載し、外部から電気エネルギーを供給しなくとも自力で走行できることから、電路や変電所などの大掛かりな設備を必要としません。そのため、比較的輸送量の少ない地方路線で多用されているほか、工事用車両としても用いられています。
今日では、JRのローカル線区や第三セクター鉄道の一部、津軽鉄道、関東鉄道、ひたちなか海浜鉄道、小湊鐡道、紀州鉄道、島原鉄道などの地方民鉄で気動車が運転されています。