スリップ・スキッド
列車は、車輪の回転力がレールに接触して摩擦を起こし推進力を得ていますが、その際、この回転力が摩擦力よりも大きい場合は、車輪は正常に回らず、レール面上を滑って回転することになります。これを車輪の空転(「スリップ」)といいます。
また、走っている車両の車輪にブレーキが作用したとき、車輪の回転を止めようとする力がレール接触面との摩擦力より大きいと、車輪はロックされた(回転が止まった)状態のままレール上を滑ってしまいます。これを車輪の滑走(「スキッド」)といいます。
雨や雪が降ると、自動車と同じように鉄道の車両も滑りやすくなります。特に鉄道は、車輪もレールも鉄でできているため、ゴムのタイヤよりずっと滑りやすくなっています。また、いったん発生した滑走が自然に復旧することは望めません。そのため、列車には、滑走した車両を検知し、ブレーキを緩めて滑走を止め、滑走がやんだ後に再びブレーキを操作する「滑走防止制御装置」を備えています。このような装置の力を借りながら、運転士は細心の注意を払って運転しているのです。(→車輪)