踏切事故
踏切内で、列車が通行人や自動車と衝突したり接触したりすることでひき起こされる事故のことを「踏切事故」といいます。国土交通省令「鉄道事故等報告規則」には、「踏切障害事故」として分類されています。踏切事故では大きな被害が発生することも多いため、民営鉄道による交通安全運動の重点もここに置かれています。
大手民鉄では、かねてより踏切の統廃合、立体交差化のほか、運行管理システムの機能向上、各種の運転保安設備の整備などに取り組んできました。中でも立体交差化の推進に伴い、大手民鉄16社の踏切総数は2018年度末で5,486箇所となっており、2000年度末に比べて約1,200箇所も少なくなっています。こうした取り組みの成果もあり、1960年度に1,298件だった事故件数は、2018年度には81件まで減少しています。
踏切事故は安全輸送を脅かすばかりでなく、住宅密集地では周辺に及ぼす被害も大きくなりがちです。大手民鉄各社は、残る踏切についても、最も保安度の高い第1種踏切道への転換を進めています。その結果、近年では第1種踏切道の比率は約99%まで高まっています。
なお、踏切事故の原因を見ると、大手民鉄の場合、①直前横断、②落輪・エンスト・停滞、③限界支障・側面衝突の順に多く、特に直前横断は全体の約60%を占めています(2018年度)。(→踏切)