省エネルギー車両
使用電力を削減するため、VVVFインバータ制御装置や回生ブレーキを装備し、ステンレスやアルミを用いて車体を軽量化した車両のことを、一般に「省エネルギー車両」と呼んでいます。
電車を走らせるために用いられるエネルギーは、そのほとんどを「電力」に負っています。電力は、電車を動かす「運転用電力」と、踏切・信号・駅の照明などに使用される「付帯電力」に分類できますが、省エネルギー車両は「運転用電力」の削減を目標にして製造されたもので、制御装置に「VVVFインバータ制御」というシステムを用いるとともに、減速時にモーターで発電した電力を架線に戻す「回生ブレーキ」を備えています。
「VVVFインバータ制御」は、電圧や周波数を変化させながら交流モーターを制御し、電車の加速力や速度を制御することができます。電気抵抗を使わないため、エネルギー効率が高まります。また、「回生ブレーキ」は、電車がブレーキをかけたときにモーターを発電機として作用させ、発生した電気を架線に戻して、近くを走行している他の電車に供給する仕組みです。発生した電力を再利用することで使用電力量を節約することができます。
こうしたシステムによって使用電力を直接削減しているほか、アルミニウムやステンレスを用いて車両を軽量化することで、間接的に消費電力を抑えています。大手民鉄の省エネルギー車両は、すでに全保有車両の約88%に達しています(2019年度末現在)が、今後も増備を進めていく予定です。
そのほか、大手民鉄では、節電効果に優れたLED照明への切り替え、冷房負荷の軽減につながるUVカットガラスの採用など、様々な工夫によって一層の省エネルギー化を進めています。(→インバータ車、回生ブレーキ、軽量化車両)