地方民鉄

地方民鉄についての公式な定義はありませんが、日本民営鉄道協会では、協会に加盟している72社のうち、大手民鉄16社を除く56社のことを総称して「地方民鉄」と呼んでいます。地方民鉄には、普通鉄道のほか、モノレール、新交通システム、鋼索鉄道、軌道事業者(路面電車)も含まれ、その数は、わが国の全鉄軌道事業者のうち約26%を占めています(2019年)。

大手民鉄が、東京、大阪、名古屋、福岡など大都市圏の旅客輸送を受け持っているのに対し、地方民鉄は、大都市圏の郊外、地方中核都市や山間部を走り、地域住民の"暮らしの足"となっています。また、少数ながら貨物輸送や観光輸送を担っている鉄道もあり、こうした鉄道は地域経済の活性化に寄与しています。

地方民鉄の利用者は、少子高齢化、過疎化、モータリゼーションの進展、高速道路・地方幹線道路の整備などの影響を受け、1970年前後にピークを迎えた後、年々減少傾向で推移してきました。ここ数年はインバウンド需要などで一時的に上向いたものの、基本的には減少に歯止めがかからず、多くの鉄道事業者は苦しい経営に直面しています。

こうした現状の下で、近年、「地域公共交通活性化再生法」に基づく支援、第三セクター鉄道への転換、上下分離の採用など、国・地方自治体による様々な公的支援制度も整備されつつあります。しかし、地方民鉄を取り巻く事業環境は依然として厳しく、予断は許されない状況です。鉄道の必要性を地域が認め、存続に向けての合意が形成された場合には、鉄道事業の継続に向けて十分な公的支援が行われるよう、諸制度の一層の拡充が望まれます。

なお、「地方民鉄」と類似した用語に、「地方鉄道」「地域鉄道」「中小民鉄」「地方交通」などがあります。それぞれ"地方都市圏の鉄道"を示すものとして用いられていますが、必要に応じてその内容が定義されることもあります。(→地域公共交通活性化再生法第三セクター鉄道上下分離

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