日本民営鉄道協会
日本民営鉄道協会は、1967年6月28日に旧運輸大臣から設立の許可を受けて発足した民営鉄道の業界団体です。当初は民法に基づく社団法人として組織されましたが、2012年4月1日付で、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づき社団法人から一般社団法人に移行し、現在に至っています。
「にほんみんえいてつどうきょうかい」と読み、英文では"JAPAN PRIVATE RAILWAY ASSOCIATION"と表記します。主たる事務所は、東京都千代田区に置かれています。
日本民営鉄道協会は、「鉄道輸送の公共性にかんがみ、鉄道の輸送力の増強と安全輸送の確保を促進する施策に協力し、鉄道事業及び軌道事業の健全な発達を図り、もって国民経済の発展に寄与する」(定款第3条)ことを目的とし、その目的を達成するため、次のような事業を行っています(定款第4条)。
①鉄道、軌道事業が社会的、経済的生活の向上に寄与するための施策を企画すること。
②鉄道、軌道事業の近代化、合理化施策を研究し、かつその指導を行うこと。
③交通事故防止対策の研究と指導をすること。
④鉄道、軌道事業の運営の刷新及び技術の向上に努め、かつ資金の調達に関し協力すること。
⑤鉄道、軌道事業に関する必要な調査、研究をなし、その他意見の発表を行うこと。
⑥鉄道、軌道事業に関し、関係行政機関等に対し請願又は建議をなすほか、その円滑なる実施に協力すること。(以下省略)
会員の資格は、「鉄道事業及び軌道事業を営む法人」であって、理事会の承認を得た者とされています(定款第5条、6条)。現在の会員は72社で、その内訳は大手民鉄が16社、地方民鉄が56社となっています。
法人の機関として総会、理事会が設けられ、その下に総務・労務・地方交通・運輸・財務・技術・広報の各委員会が設置されています。各委員会は、その関係部会とともに、労務・運輸・財務に関する重要問題の審議対策、鉄道技術・交通安全に関する審議研究、地方民鉄の運営に関する審議対策などを行う一方、民営鉄道に関する広報活動にも取り組んでいます。また、事務局には、総務広報部、労務部、企画財務部、技術部、運輸調整部が置かれ、実務を行っています。
日本民営鉄道協会が発足するまでの歴史を振り返ってみると、次のとおりです。
①1914(大正3)年7月10日:調査・研究・親睦の団体として「軽便鉄道協会」が創立。
②1915(大正4)年2月28日:「私設鉄道協会」に改称。さらに1920(大正9)年2月10日に社団法人「鉄道同志会」に改組。
③1942(昭和17)年5月30日:「鉄道同志会」を解散し、戦時統制団体の「鉄道軌道統制会」として鉄道省の監督下で設立。
④1945(昭和20)年12月26日:終戦に伴い社団法人「日本鉄道会」として再発足。
⑤1947(昭和22)年11月28日に労働問題に対処するため「私鉄経営者連盟」が、同年12月19日に業界の諸問題の調査・研究・親睦の機関として「日本鉄道会議所」がそれぞれ発足。
⑥1948(昭和23)年8月12日:「私鉄経営者連盟」と「日本鉄道会議所」を統合して「私鉄経営者協会」を設立。
⑦1967(昭和42)年6月28日:「私鉄経営者協会」を社団法人「日本民営鉄道協会」に改組。
なお、団体の名称に"私鉄"ではなく"民営鉄道"という言葉が用いられたのは、一説によれば、当時、国鉄以外の鉄道を監督していた旧運輸省の「鉄道監督局民営鉄道部」に着想を得たとも言われています。(→大手民鉄、地方民鉄)