特定都市鉄道整備積立金制度

  複々線化などの大規模な輸送力増強工事を促進するため、工事に必要とされる費用の一部を、あらかじめ運賃に上乗せして鉄道利用者に負担してもらい、国から認定を受けた鉄道事業者(認定事業者)がその増収分を「積立金」として積み立て、鉄道整備費の一部に充てるとともに、工事完了後にその上乗せ分を利用者に還元する制度が「特定都市鉄道整備積立金制度」です。同制度は、「特定都市鉄道整備促進特別措置法」と「租税特別措置法」に基づき、1987年に創設されました。

  この制度によると、経理上、積立金は租税特別措置法に基づく「準備金」として課税が生じないように取り扱われるとともに、工事の完成後10年間にわたり均等に取り崩して「益金算入」することができます。そのため、利用者の負担と認定事業者の負担は、ともに将来にわたって平準化・軽減されるというメリットがありました。

  また、積立金の積み立ては、旧運輸大臣の指定する非営利法人が行うこととされました。日本民営鉄道協会は、1987年に大臣の指定を受けて指定法人となり、積立金の管理業務(積み立て・取り戻しなど)を行いました。

  この制度は、1987年度から関東の大手民鉄5社(東武〔伊勢崎線・野田線・東上線〕、西武〔池袋線〕、京王〔京王線・井の頭線〕、小田急〔小田原線〕、東急〔目黒線・東横線・大井町線・田園都市線〕)で活用されましたが、租税特別措置法の改正に伴い非課税措置が廃止されたため、2005年に認定を受けた東急東横線(渋谷~横浜間改良工事)を最後に、新規認定の実績はありません。

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