会長あいさつ

昨年より国内でも感染拡大している、新型コロナウイルス感染症については、ワクチン接種の普及など、感染防止と社会経済活動の両立に向けた兆しが見えつつあるものの、本年4月下旬以降、一部の都道府県において3回目の緊急事態宣言が発令されるなど、未だ収束の目途が立たない状況であります。

そのような情勢の中、鉄道事業は公共交通として国民生活や経済活動を支える重要なインフラとして、社会機能維持のため、終始事業継続が求められて参りました。
また、感染防止のためのガイドラインに沿って、車内換気や消毒などの業務継続に向けた体制の整備、マスク着用や控えめな会話などの各種感染防止対策の利用者への呼びかけ、情報提供を行い、さらには、終電繰り上げや減便などの要請にも対応して、安全で安心感のある鉄道を目指し、国民の皆様の期待に応えるよう努めて参りました。
しかしながら、感染防止するためには、人と人との接触を極力減らすことが重要だということで、人の動きや流れが止まり、鉄道をご利用のお客様は大きく減少しております。各社の経営状況を見ますと、昨年度決算では大きな損失を計上しており、今年度も厳しい見通しであることを含め、まさに未曽有の危機に直面しているところであります。

さらに、このコロナ禍を契機として、人々のライフスタイル、ワークスタイル、そして消費行動は大きく変化しています。鉄道需要は、コロナ禍が収束した後も、以前のようには戻らないことが想定されます。
すでに各社において色々と取り組みを進めているところではありますが、急速に進展するデジタル化にもしっかり対応し、人々の行動様式の変化を的確に捉え、事業の効率化を進めるとともに、新たな価値を創出していくことが、これまで以上に重要になるものと思います。
また、従前からの課題である人口減少と高齢化、気候変動に伴う大規模な自然災害への対策はもちろん、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けた対応など、ESGへの取組みについても、高度な対応を求められるものと考えております。

私ども民営鉄道事業者は、鉄道に期待される公共的使命の重さを自覚しながら、これからも、より安全・安心で、快適・便利な民営鉄道の持続的発展を目指し、新型コロナウイルス感染症対策を始め様々な課題に取り組んでまいりたいと存じます。
皆様方には、私どものこのような取り組みに対し、引き続きこれまでと変わらぬご理解、ご協力を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

2021年6月4日
一般社団法人 日本民営鉄道協会会長
野本 弘文

社団法人 日本民営鉄道協会会長 野本 弘文