会長あいさつ

年始の能登半島地震において被災され、今なお厳しい状況におられる皆さまにお見舞い申し上げます。私達鉄道事業者にとって、自然災害への対応は鉄道事業の安定的な継続にあたって重要な課題であります。しっかりと協会としても取り組んでいかなくてはならないと考えております。
さて、鉄道需要を見てみますと、コロナ禍前の日常生活が戻ってきたこともあり、それなりに需要が回復してきたところであります。また、一時は蒸発してしまったインバウンドも、記録的な円安も相まって、以前にも増す勢いで訪日するようになり、コロナ禍の長いトンネルを、ようやく抜け出したことが実感できるようになりました。
しかしながら、テレワークの普及など生活習慣の変容により、鉄道需要はコロナ禍前の水準には戻らないと見込まれます。また、人材確保の困難化など、安定的な事業継続に支障を及ぼす事態も生じております。特に、地方民鉄においては、その経営環境は一層厳しさを増しています。さらに、バリアフリーの推進はもちろん、2050年カーボンニュートラルなどへの適切な対応なども求められているところです。
そこで、2024年度の協会の事業計画では、JRグループと連携した、環境に優しい鉄道への理解を深め、鉄道の利用促進を図る啓発活動の推進、情報発信の強化によるインバウンドの鉄道利用の推進、民鉄業界における人材の相互受入スキーム「民鉄キャリアトレイン」の推進、カスタマーハラスメント対策など人材確保に向けた取り組みなど、会員各社の事業面での取り組みの強化を目指すことを大きな柱としているところです。
私ども民営鉄道事業者は、鉄道に期待される公共的使命の重さを自覚しながら、これからも、より安全・安心で、快適・便利な民営鉄道を目指し、様々な課題に取り組んでまいる所存です。
引き続き、皆様のご理解ご協力をお願い申し上げます。

2024年5月24日
一般社団法人 日本民営鉄道協会会長
原田 一之

一般社団法人 日本民営鉄道協会会長 原田 一之