会長あいさつ
近年のコロナ禍により、鉄道需要は大きく落ち込みました。コロナ感染症5類への移行となった後も、人々の生活習慣は大きく変容し、コロナ前のように鉄道需要が戻らないことも想定せざるを得ない状況です。
さらに、地方民鉄においては、従前からの需要の低迷に加え、このコロナ禍によってこれに拍車がかかるなど、その経営環境は一層厳しさを増しています。これに対し、国においては、今年度予算において、ローカル鉄道の再構築への支援措置を創設・拡充され、法改正も行われたところであり、引き続き、会員各社との連携を密にしつつ、協会としてもその支援に協力してまいります。
鉄道にとって、長く厳しいコロナ禍ではございましたが、水際措置は終了し、今月から、新型コロナウィルスの感染症法上の位置づけが引き下げられ、各地で人の賑わいがみられるようになりました。国内の移動需要が高まり、またインバウンドがますます増加し、各地に一層の賑わいがみられるようになることを期待しています。
他方で、昨年来から電力費を始めとする物価の高騰、人材確保の深刻化など、民鉄業界を取り巻く環境は厳しい状況が続いております。
また、従前からの課題である、バリアフリーやDXの推進、気候変動に伴う大規模な自然災害への対応はもちろん、2050年カーボンニュートラルに向けた対応などを求められております。
このような課題に向き合いながら、コロナ禍のトンネルを抜け、民鉄業界の再生回復と更なる発展を目指していきたいと思います。
私ども民営鉄道事業者は、鉄道に期待される公共的使命の重さを自覚しながら、これからも、より安全・安心で、快適・便利な民営鉄道を目指し、様々な課題に取り組んでまいる所存です。
皆様方には、私どものこのような取り組みに対し、引き続きこれまでと変わらぬご理解、ご鞭撻を賜りますよう心よりお願い申し上げ、就任のご挨拶とさせていただきます。
2023年5月26日
一般社団法人 日本民営鉄道協会会長
原田 一之